変な夢を見たけど、それは夢じゃないことを俺は知っていた。


午前1時ベッドの中、軽くひざを曲げて体を横に向け、目を閉じていた。
このまま寝てしまおうかとも考えていた、珍しく、虫の鳴く声も聞こえない静かな夜だった。


感覚で言うと、最初は意識の下をどんどんと潜っていく感じだった。
落ちていくような、目を閉じた中なので、暗い闇をゆっくりと落ちていくような感じ。
いつまでこれは続くのか―――、そんなことを考えていた。それだけだった。


いきなり、視界が広がり、明るくなった。だが、俺は目を開けていないのを自覚している。
そこは、昨日の発表の会場、俺は脇に控えて椅子に座っていた。
おかしいと思った。俺は軽くひざを曲げて寝ているのを知っている。なのに椅子に座っている感じがする、触れている感じがあった。
左を見ようと思った、そこには他校の生徒が記憶どおり映る。右を見ると、共同発表者が映った。
変な感覚だった。夢だけど、俺は座っているし物が見えた。


家の前を通る車の音、けたたましい音に目を開いた。10分ほどしかたっていなかった。
ひざは軽く曲げたままだった、寝る前と同じ。
はっきりとした頭で考える、結局夢だったのだろうか。
何と言うか、夢に体の感覚を奪われた感じ、簡単に言えばそう、だけど「それは夢だ」って一言で言いたくないものがあった
いろいろと考えたけど、すごい疲れたのでそのうちに寝てしまった。