目的をもって、何かをなせ。

と、親父に言われたのは昨日のこと。正論ばかり語るから結構耳が痛い。



父「春休みに入ったんだから、何か目標を持ってやりなさい」



自営業の店を閉めるのを手伝ってると、親父が話しかけてきた。



「何かって、何をさ?」
今日午後2時に起きたのを怒ってるのかな、と思いつつ、言葉を返す。



父「別に、何をしなさいっていうわけじゃない。ただ、数ヶ月っていう長い休みがとれるのは大学1,2年のうちだけなんだから、自分で何か見つけてやってみなさい」



確かに、社会人になったら2ヶ月なんて休みはもらえないだろう。でもなんか納得したくないぞ。
「そんなもんかなぁ・・」



父「そんなもんだ。学生は時間があるが金はない、社会人になると金はあるけど時間がない。だから、できるだけ節約して旅行に行くっていうのもいいんだ」



節約して旅行とか、考えたこともなかった。最近だって、起きて飯食ってゲームやってバイトで働いて、帰ってきて寝ての繰り返しだったから。
「旅行ねぇ・・・」



父「お前も、そういえば○○(兄の名前)だってオタク層だろ?」



これは反論のしようがない。
「まぁ、そりゃそーだけどさ」



父「家に中いんのが好きなんだろ?生活だってグータラしてるし」



痛くなってきたぞ、だんだん。
「そりゃ家にいるのは好きだけどさ」



父「だから、そんな生活で数ヶ月過ごすのはもったいないんだよ。自分で何か見つけて、目標を持ちなさい」



正論だ。たしかに何やってんだろって思えてしまう。圧倒的に暇な時間が増えてしまったわけだし。
「うーん・・・目標ねぇ・・・」
ふと、思いついたことを言ってみた。
「じゃあ、親父は何かしたの?それこそ、大学の休みの間とか」



父「そうだな・・・俺は大学には行ってなかったけど・・・でも、したことはあったな。例えば、伊豆まで自転車で行った」



「伊豆?」
思わず訊き返した、確か親父が昔住んでたのは東京の武蔵野あたり・・・結構な距離なんじゃない?



父「そうだ、道があればどこにでも行けるからな」
父「まぁ、そういうことだよ。無駄な時間を使うよりは、何か目的をもって行動しなさい」



結構かっこいいこと言うじゃん。でも、モラトリアムに囚われてるからかどうかわからないけど、無性に反論したくなった。
「目的なんて・・・そう簡単にみつからないよ」
情けない一言だなと、今更ながら思う。



父「生きてる間、そんなはっきりとした目的をもって行動するってのは、あんまりないんだよ。思いついたら、やってみなさい」



説得力があるなぁと思った。この人は自分くらいの歳の頃に何をしたたんだろう、と一瞬気になった。
でも、僕は行動力が無いんだな・・・。説き伏せられてやっと出たのが、これだった。
「わかったよ・・・じゃあ何かを見つけることから、始めてみる」